値下げは攻め、値上げは守り
お疲れ様です。
ガソリンスタンドに入る時、1番気にするのは値段、という方が7割以上とのデータがあります。
これはつまり、安くさえしておけば7割以上のユーザーは満足する、と言い換えてもいいかもしれません。
これはガソリンスタンドに限ったことではありませんが、安い方がそりゃあ嬉しい。原価に近付けば近付くほど嬉しい。
ですが、それで成り立つならこの世に商売は成り立ちません。缶ジュースが自動販売機で50円で売ってたら勿論売れるでしょうが、置いてる方は電気代にもなりゃしません。
要するに値下げ、安くするというのは、お客さんの満足を得る代わりに自分達が血(利益)を流す、その代わりに大量に販売して帳尻を合わせる、という攻めの姿勢なのです。
逆に、値上げはお客さんの不評を買いますが、体力を温存するには有効です。仕入れが上がっても値上げしない所がありますが、それは実質値下げと同じことです。
まだ記憶に新しいですが、常滑で新規出店したコストコと、その隣で安売り店として有名なSSが熾烈な値下げ競争を繰り広げた事がありました。
いやああれははっきり言って引きました、ドン引きでした。
あの時うちの店は確かレギュラー129円で販売していたのですが、コストコはオープンから100円台の安値を繰り出し、負けじと隣も追従し更に安くし、それを見たコストコが更に値下げを‥といった争いが続いた結果、最終的には87,9円という値段を安売り店が掲示するまでになりました。
すごいです、ガソリン税や消費税を除いたら、精製する前の原油より安いんです。
原油を精製して、精製コストのっけて、配送して、配送コストのっけて、うちみたいな小さいとこなら更にブランド料のせられて、そこからやっと販売店に到着して販売店の利益のっけて、んで店頭で販売するんです。
仮に同じ値段でうちが販売したとすると、なんとリッター28円の赤字。
もちろん仕入れはうちより安いでしょうが、それでも原油より安い精製油なんて存在する訳がありませんから、赤字を垂れ流しながら販売していた訳です。
あのボリュームだったら赤字額だけで月1千万は確実に超えますね。1千万で済めばラッキーくらいなもんです。
でもホラ、ぶっちゃけ消費者はそんな事情知らないじゃないですか、まさか巨額の赤字垂れ流しながら販売してるなんて思わないじゃないですか、常識的に考えて。
そうするとですね、その原油より安い販売価格、それ以下で仕入れてんだな、って思う訳ですよ。いやそれ自然な発想ですよね、そうなんです、ぼくも消費者だったら間違いなくそう思います。
そうするとですね‥うちの店ぼったくり程度じゃない、超ぼったくり価格だと思われる訳ですよ‥何しろ価格差40円以上なんで‥
あれはかなりのガソリンスタンドが言われましたよきっと、「常滑はあんな安いのに何でお前んとここんな高いんだ」って‥
いや出せねぇんだよ!って吐き捨てたい気持ちをグッとこらえて、「申し訳ありません」と頭を下げるあの不毛さよ。
そこのお店の価格はですね、お店の方が考えて考えて「この価格ならなんとかギリギリやっていける」で出してる価格なんです大抵。あんま高いとか言わんといてあげてホンマ。
店を守るのが、従業員の仕事なので。値上げは早くて値下げは遅い、というイメージなガソリンスタンドですが、当事者から言わせれば全く逆です。値下げは早いくせに値上げは渋る、これひとえに周りより売りたいから。
世間一般的な値上げは早いくせに値下げは遅い、というイメージそのままならもっと閉鎖のペースはゆっくりだったんでしょうなあ。